こんな会社駄目だろうと思っていたのですが、見事に潰れました。
私の3回目の転職で入社した会社ですが、零細企業のいわゆる問屋でした。
グループ企業で数百名の社員のいる会社でしか働いた経験がなかったのですが、父親が末期ガンになり、実家のローンを支払って欲しいと頼まれ、どこでもいいので経験のある業界で簡単に就職できる会社を選んだだけで就職しました。
従業員は男性社員が8名。あとは経理の女性が一人とパートさんという規模でした。
その会社が、まぁ酷かった。
会長・・・創業者のおじいちゃん。
いつも気合バリバリ
社長・・・会長の娘婿。会社を継ぐために大会社から転職して会社の社長になった。
超アンポンタン。
部長・・・創業当時からいるいわゆる良い人。
実質会社を支えている。
係長A・・・完全なアル中。サラ金に追われて自己破産して退職。
係長B・・・私より一つ年上。真面目だが自分のこと以外全く考えられない。
社員A・・・私より一つ年上。係長Bの同級生。サラ金に追われて会社の商品に手をつけて解雇。自己破産。
社員B・・・私より一つ年上。私より一ヶ月ほど先に入社。性格の良いイケメン。3年後退職。
社員C・・・私より一つ年上。私と同時に入社。何一ついいところのない人。彼についてはいつかゆっくり書いてみたいです。
このメンバーに私は入っていくことになります。
5年勤めましたが、見事に廃業しました。
なんといっても営業職なのに売り上げ予算、ノルマが一切ありません。
自分の出している利益額もさっぱりわからないのです。
これは毎月数字と戦ってきた私にとっては衝撃的な会社でした。
仕事帰りに麻雀をしたり、飲みにいったりと仲良くはしていましたが、社員は会社に対する忠誠心はいっさいありません。
会長と社長と部長はずっと会社にいて、部長は我々営業マンの電話やFAXを受けて商品を出荷します。
会長と社長は話をしているだけで、売り上げに関係する仕事は一切しません。
家を売るとか、買うとか、土地をどうするとか・・・そんな話だけでした。
会長と社長が仕事内容を全く理解していないという不思議な会社でした。
問屋なので、仕入れた価格よりいくらか利益を乗せて売れればよいという考えだけで、在庫リスクという考えはほとんどもっておらず、在庫が増えると財産が増えると勘違いしていました。
それは物のない時代なら考えられますが、昨今では単に財務を圧迫しているだけです。
会長は1000円で仕入れたものを原価を書き直して1200円という原価にして我々に提示します。
そうすると我々が1200円以上で売ると信じているのです。
しかし、実際にはその商品は1100円くらいで流通しているので我々は面倒くさいので売りません。
というか、原価割れで売ることは絶対に禁止されているのです。
我々は書き直す前の伝票を見ているので、実際の原価を知っていて絶対にその商品には手を出しません。
結局、在庫となります。
しかし、在庫は財産と勘違いしているので問題がないのです。
昔から商売をしていて資産があったらしく、その時点では損切りという発想を持っていませんでした。
社長は会長の言う事を聞く以外に自分の仕事はないと信じきっている人なので、自分の意見は全くもっていませんでした。
私の人生でも一番仕事をいい加減にしていた時期です。
しかし、もともと業界の大手にいたので、やる気がなくてもそこそこ仕事ができました。
結局、社長の一番のお気に入りになってしまいました。
そんな私は、まず会社にいって、部長にその日の出荷依頼など、こまごまとした準備をします。
10時くらいには得意先に行くといって会社を出て行きます。
そして、まず得意先近くの駐車場に車を停めて睡眠をとります。昼近くまで寝ています。
12:30ころには待ち合わせしていた社員Aや社員Bと一緒に昼食を食べます。
3人で喫茶店に行ってノンビリ話をします。
それから別れて各得意先に行きます。
しかし、いわゆる御用聞き営業で1社20分くらいしかかかりません。
そして、それを3社ほど回ってから、私はジムに行きます。
得意先近くのジムに入っていたので、運動して、泳いで、少し睡眠をとってから帰社です。
これが6時くらいです。そして、出荷のチェックなどをして、7時には退社です。
こんな会社潰れるだろうなぁと内心思っていました。
このまま続くなんて考えられませんでした。
言っておきますが、一番仕事ができていた私がこのスケジュールです。
他の社員は今から思えば何をしていたんでしょう?
ある日、会社は廃業しました。
10万円の退職金でした。
あの会社を潰したのは私かもしれません。
もっと真剣に現状では駄目だということを社長に説得したら変わっていたのかもしれません。
社長とたまに電車でバッタリ会います。
今はどこかの経理部でサラリーマンをしているらしいです。
経営者が業務内容を理解していない会社が続くわけはないのです。
そのような会社に忠誠心を持つ社員が育つはずがないのです。